
脂質異常症(高脂血症)
東京都品川区大井の大村病院は、大井町駅(バスで5分)、大森駅(バスで8分)、西大井駅(バスで10分)、立会川駅(徒歩12分)からアクセスしやすい内科・発熱外来/予防接種・脳神経内科・健康診断・各種検査・入院・訪問診療・在宅医療の病院です。
脂質異常症とは
脂質異常症とは、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)の量が正常範囲から外れた状態のことです。以前は「高脂血症」と呼ばれていましたが、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が低い場合も含むため、2007年に「脂質異常症」に改称されました。 血液中の脂質には、おもに以下の種類があります。- LDLコレステロール(悪玉コレステロール):コレステロールを全身の細胞に運ぶ役割がありますが、量が多すぎると血管の壁に蓄積し、動脈硬化の原因となります。
- HDLコレステロール(善玉コレステロール):血管の壁に溜まった余分なコレステロールを回収し、肝臓に運び戻す役割があります。動脈硬化を防ぐはたらきがあるため、低すぎると問題になります。
- 中性脂肪:体のエネルギー源として使われますが、過剰になると肥満や動脈硬化のリスクを高めます。
脂質異常症の原因
脂質異常症の原因は大きく分けて「原発性(体質・遺伝的な要因)」と「続発性(ほかの病気や生活習慣が原因)」があります。多くの方は、遺伝的な体質と生活習慣の両方が影響し合って発症します。生活習慣に関連する要因
- 食事の偏り:飽和脂肪酸(肉の脂身、バター、生クリームなど)やコレステロールの多い食品、糖質の過剰摂取が脂質の値を悪化させます。
- 運動不足:運動不足は中性脂肪の増加やHDLコレステロールの低下につながります。
- 肥満:とくに内臓脂肪型肥満(おなか周りに脂肪がつくタイプ)は脂質異常症のリスクを高めます。
- 喫煙:喫煙はHDLコレステロールを低下させ、動脈硬化を促進します。
- 過度な飲酒:アルコールの過剰摂取は中性脂肪を増加させます。
遺伝的な要因(家族性高コレステロール血症)
ご家族に若くして心筋梗塞や狭心症を発症した方がいる場合や、生活習慣を改善してもLDLコレステロールが下がりにくい場合は、遺伝的な要因が関係している可能性があります。家族性高コレステロール血症は約300人に1人の頻度でみられ、早期に発見して適切な治療を行うことが重要です(日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」)。ほかの病気に伴う脂質異常症(続発性)
甲状腺機能低下症、糖尿病、腎臓病(ネフローゼ症候群・慢性腎臓病)、肝臓の病気などが原因で脂質異常症が起こることもあります。この場合、もとの病気を治療することが脂質の改善にもつながります。脂質異常症の症状
脂質異常症は、高血圧と同様に自覚症状がほとんどありません。血液中のコレステロールや中性脂肪が高い状態が長く続いても、痛みや体のだるさなどを感じることはまれです。 しかし、症状がないからといって放置すると、血管の内側にコレステロールなどの脂質が蓄積し、少しずつ動脈硬化が進行していきます。動脈硬化が進むと血管が狭くなったり、詰まったりして、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な病気を引き起こすことがあります。 そのため、自覚症状がなくても健康診断で脂質の値に異常がみられた場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。脂質異常症が引き起こす合併症
脂質異常症を放置して動脈硬化が進行すると、以下のような重大な疾患のリスクが高まります。心臓の病気(狭心症・心筋梗塞)
心臓を取り巻く冠動脈が動脈硬化で狭くなると、心臓に十分な血液が届かなくなり、胸の痛みや圧迫感が生じます(狭心症)。さらに血管が詰まると、心臓の筋肉が壊死する心筋梗塞を発症し、命に関わることがあります。脳の病気(脳梗塞)
脳の血管が動脈硬化で狭くなったり、詰まったりすると脳梗塞を発症します。手足のまひや言語障害などの後遺症が残ることもあり、予防が非常に重要です。当院では脳神経内科も併設しており、脳卒中の慢性期管理にも対応しています。その他の合併症
大動脈や下肢の血管が狭くなる末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)や、中性脂肪が極端に高い場合の急性膵炎などがあります。また、脂質異常症は高血圧や糖尿病と合併しやすく、複数のリスクが重なると動脈硬化がいっそう進行しやすくなります。脂質異常症の治療
脂質異常症の治療は、まず生活習慣の改善から始めるのが基本です。生活習慣の改善
食事の見直し
食事療法は脂質異常症の治療の柱です。脂質のタイプに応じた食事の工夫が大切です。 LDLコレステロールが高い方- 飽和脂肪酸を減らす(肉の脂身、バター、ラード、生クリームなどを控えめに)
- トランス脂肪酸を減らす(マーガリン、ショートニングを使った菓子類など)
- コレステロールの多い食品を摂りすぎない(鶏卵、レバー、魚卵など)
- 食物繊維を積極的に摂る(野菜、海藻、きのこ、豆類など)
- 大豆製品や青魚を意識して摂る
- 糖質(ご飯・パン・麺類・甘いものなど)の摂りすぎに注意する
- アルコールを控える
- n-3系多価不飽和脂肪酸(青魚に多く含まれるEPA・DHA)を積極的に摂る(日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」)
運動
有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)を習慣的に行うことで、中性脂肪を減らし、HDLコレステロールを増やす効果が期待できます。毎日30分以上、または週180分以上の有酸素運動が目安とされています(厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」等)。ただし、体力や体調には個人差がありますので、無理のない運動について主治医にご相談ください。禁煙
喫煙はHDLコレステロールを低下させるだけでなく、血管を傷つけて動脈硬化を直接的に促進します。脂質異常症と診断された方は、禁煙に取り組むことが強く推奨されます(日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」)。適正体重の維持
肥満(とくに内臓脂肪型肥満)は脂質異常症の大きなリスクです。食事と運動を組み合わせて、適正な体重を維持することが大切です。薬物療法
生活習慣の改善を行っても脂質の管理目標に届かない場合や、心筋梗塞・脳梗塞の既往がある方、糖尿病や慢性腎臓病などの高リスク病態を合併している方には、医師の判断のもと薬物療法が行われます。おもに使用される薬は以下の通りです。- スタチン系薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬):LDLコレステロールを下げる効果が高く、もっとも広く使われている脂質異常症治療薬です。
- エゼチミブ(小腸コレステロールトランスポーター阻害薬):腸でのコレステロール吸収を抑えます。スタチンと併用されることが多い薬です。
- フィブラート系薬:おもに中性脂肪を下げる効果があります。
- EPA製剤:魚の油に含まれる成分(EPA)を原料とした薬で、中性脂肪を下げるとともに動脈硬化の進行を抑える効果が期待されます。

